占星術とは何でしょう?
人はなぜ、空を見上げるのでしょうか。
古の人々は、天空にある星々(宇宙)とこの私たちがいる地上の営みに、明確なつながりを感じ取っていました。
まだ電気もなく、火を起こすにも手間がかかっていた時代には、今では想像もつかないほど「夜の闇」は深かったでしょう。
そんな大きな闇の中で夜空に輝く星々は、人々にとって文字通りの「希望の光」であったに違いありません。
そして明日もまた同じように「太陽」が昇り、再び夜の闇の不安や恐れが明けるようにと、煌めく星たちに祈りながら眠りについたかもしれません。
太陽は命の源です。
世界中に太陽信仰は存在し、夜明け・日の出というのは1日の中でも特別な時間帯です。
また、特に冬の寒さが厳しい地域においては、春の芽吹きの季節はまさに生命誕生の象徴であり、太陽の季節の再来は人々にとって格別な喜びでした。
現代の私たちのように明日が来るのが当たり前でなかった古の人々にとっては、このように日が昇り沈み→夜が訪れ星々が輝き→また日が昇る、というサイクルが繰り返されるということがひとつの安心感につながっていました。
そして、太陽や月・星々の巡るリズム・サイクルを注意深く観察することによって、1日という時間や1年という暦などの概念が作られました。
また、夜空をさらに細かく観察すると、夜空に輝く星々の中には動かない星座(恒星)と、動いて位置を変える星(惑星)があることに気づいた人々がいます。
その「惑星の動き」を正確に観測することで、地上に起こるできごとを予測しようとしたのが、占星術のはじまりです。
それが古代メソポタミア・バビロニア時代の人々であったと言われています。
ヘルメス・トリスメギストス(伝説上の神人・錬金術の祖・ピタゴラスの師・エジプトのピラミッド設計者・トート神など色々な謂れがある)のエメラルド版にある以下の言葉は、占星術にとっても根源的な概念です。
これは真実にして嘘偽りなく、確実にして最も真正である。
下にあるものは上にあるもののごとく、上にあるものは下にあるもののごとくであり、それは唯一のものの奇蹟を果たすためである。
これは大宇宙(マクロコスモス)に対して、私たちの地上の営みや私たち自身が小宇宙(ミクロコスモス)であるという概念です。
私たちの中にも宇宙がある。
観測技術が発展した現代においても、やはり宇宙と私たちの間には類似点が見出されています。
たとえば、宇宙の構造と人間の脳にあるニューロン(神経伝達物質)の構造はとてもよく似ていると言われます。
でもこれらのことは、よくよく考えてみれば当然のことなのかもしれません。
私たちは細かく分解すれば、ひとつひとつの細胞の集合体であり、その細胞はまた一つ一つの物質からなっており、その物質は元素の集まりで構成されています。
では、その元素はどこから生まれたのでしょうか。
それは、間違いなく宇宙から生まれています。
宇宙を知ることは、私たちの「命の源」を知ることでもあるのです。
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