クリスマス(降誕祭)と東方の三博士(マギ)

分かっているようで分かっていない、クリスマスとは何の日かについて学んでみました。

イエスの降誕と占星術との意外なかかわりなども見ていきます。


クリスマスはキリストの降誕祭

クリスマスはイエス・キリストがこの世に誕生したことをお祝いする日です。

イエスという人の姿をした神、あるいは神のひとり子がこの世に生まれたことに、思いを馳せるということです。

あくまでもお祝いをする日であって、イエスの誕生日ではないようです。

イエス・キリストの誕生日については、聖書に記載がないそうです。


12月25日の理由

とはいえ、4世紀には12月25日がキリストの誕生日とされていました。

これはローマ暦で冬至の日にあたります。

古代ローマではミトラ教の太陽崇拝が盛んであり、冬至の日は「不滅の太陽が生まれる日」として、夜を徹して祝祭が行われていました。

そこで、当時まだ勢力の弱かったキリスト教を広めるために、古くからの習わしを取り入れたものと考えられています。

太陽=光=正義という意味でも、ミトラにキリストを重ね合わせたのかもしれません。


また、その後ヨーロッパでのキリスト教布教において、古くからケルト文化圏でも冬至は太陽の復活の日としてお祝いがなされていましたので、この日を降誕祭としたことは定着しやすかったのでしょう。


ベツレヘムの星と東方の三博士

キリスト降誕の物語については、『ルカの福音書』と『マタイの福音書』に記載があり、ルカの福音書に書かれているのが、よく知られている羊飼いのお話になります。

(出典:ジェラルド『羊飼いの礼拝』パブリヒストより)


ベツレヘムで宿がなく、飼葉桶に生まれた子を寝かせていたマリアとヨセフのもとに、天使たちの預言を受けた羊飼いたちが訪れる。


一方、『マタイの福音書』では、羊飼いではなく東方の三博士が献上品をもって訪れます。

東方の三博士は、異国の王であったとも、天文学者(占星術師=マギ)であったとも言われています。

ベツレヘムにユダヤ人の王になる者が生まれたというを見つけたため、はるばる東方より救い主の降誕を祝うために訪れます。

星に導かれ、ベツレヘムのとある家に入ると、マリアと幼子イエスがいました。

博士たちはひれ伏して拝み、贈り物を捧げます。

それが、黄金・乳香(フランキンセンス)・没薬(ミルラ)の3つであったため「三博士」とされているのですが、実際には聖書に博士の人数は書いていません。


イエスに贈られた3つの品

黄金は王に贈る物,乳香は神に贈る物,没薬は死者に贈る物

(『新約聖書時代の乳香の薬用法』野田康弘より)


乳香(フランキンセンス)は、古くから教会の礼拝の際に聖なる香りとして焚かれることが多く、旧約聖書にも22回登場するそうです。

没薬(ミルラ)は、古代エジプトの時代にはミイラを埋葬する際に欠かせないもので、防腐効果や洗浄にも使われていたそうです。

黄金・乳香・没薬の3品は、占星術師(マギ)たちが星を読む際に使っていた道具とも言われるそうで、そうだとすれば当時の星読みというのは、とても儀式的で神聖なものであったのかもしれません。


絵画で見る東方三博士礼拝

イエスの降誕と東方三博士の礼拝はとても美しく厳かなシーンのため、多くの画家によって名画が描かれています。

(出典:ジョット『東方三博士の礼拝』Wikipediaより

ラクダが描かれており、博士たちが東方の砂漠を越えてベツレヘムまでやってきたことが分かります。

星は赤い彗星のようにも見えます。


(出典:ジェンティーレ『東方三博士の礼拝』Wikipediaより

こちらの三博士は、老年・中年・青年と描き分けられていて、それぞれヨーロッパ・アフリカ・アジアを表しているとも考えられます。

手には贈り物を持っていて、老年は没薬(死の象徴・受難)、中年は乳香(神性の象徴)、青年は黄金(王位の象徴)をそれぞれ贈っています。

聖家族の上には、ベツレヘムの星が輝いています。



天文学的にベツレヘムの星は?

三博士をイエスのもとへと導いたベツレヘムの星

クリスマスツリーの一番てっぺんに星を飾るのは、このベツレヘムの星が由来となっています。

その星が天文学的にはどの星であったか?については、様々な説があるようです。

  • 彗星
  • 超新星爆発
  • 惑星の会合
  • 月による惑星の掩蔽

『マタイの福音書』によると占星術師たちは、ユダヤの王(メシア)の誕生を星の動きから知りました。

ヘロデ王がそれを恐れて、ひそかに占星術師からメシアの居場所を聞き出すときに、時刻まで詳しく聞いていることから、やはりホロスコープを使って占っていたことが考えられます。

当時、上記の中でホロスコープを使ってあらかじめ時刻まで予告できる現象ということになると、惑星の会合か月による惑星の掩蔽になるのではないでしょうか。

ベツレヘムの星については、多くの考察がなされていますが、以下のサイト様がとても丁寧で腑に落ちる分析をされていましたので、貼っておきます。

(すみません、なぜか文字化けしてしまいました・・・。)

こちらのサイト様以外にも、紀元前2年のしし座における木星と金星の会合をあげておられる方がいました。

当時は現在と違って、まだ歳差運動による差がないですので、天文学上のしし座と占星術上の獅子座は同じになるんですよね。

なお、上記のサイト様ではクリスマスとイエスの誕生日を結び付けておられるので、夏になるのは辻褄が合わないとおっしゃってますが、最初に書きましたように、イエスの生まれた日と降誕祭・クリスマスとは基本的に無関係ですので、イエスが真夏に生まれていたとしても、おかしくはないのかなと思います。

イエスがユダヤの王になると預言されたということであれば、獅子座での木星と金星のコンジャンクションというのは、占星術的にもこの上なく王にふさわしい星の配置ではないかと思います。

木星と金星が重なって見えるほど接近していたとすれば、なんと美しくまばゆい星の光であったことでしょう。


とはいえ、ベツレヘムの星の話は『マタイの福音書』にしか出てこないので、のちの世に占星術師によって計算しなおして作られた話という噂もあります。

歴史の真実というのはわかりません。


それでも、イエスの降誕にまつわる聖書に占星術に関する話が出てくるというのは、星好きとしてはロマンを掻き立てられます。


2000年以上の時を経ても、水瓶座における木星と土星のグレートコンジャンクションが話題になったように、星に惹かれる人間の心というのは基本的には変わらないのかなと感じます。


夜空を見上げて、美しく輝く星々を見たら、なにかいいことがあるような気がする。

占星術の根本的なところは、ここなのだろうと思います☆


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